「老人ホームの選び方がわからない」「自分にはどの介護施設が合っているのだろう」とお悩みの方はいませんか?老人ホームの種類は多く、どの施設を選べば良いか迷ってしまいますよね。
そこで今回は老人ホームの種類や特徴に触れながら、入居までの流れや施設を選ぶときのポイントを解説します。ご両親やご自身のために介護施設を探している方は、最後まで読んで参考にしてください。
老人ホーム・介護施設の種類と選び方
老人ホームは特徴や料金・サービス内容により、複数の種類に分けられます。まずは運営主体によって「公的施設」と「民間施設」に大きく二分されるので、それぞれの特徴を見ていきましょう。
公的施設の種類と特徴
公的施設とは、国や地方自治体が運営する施設のことで「介護保険施設」とも呼ばれます。主に介護度の高い方や低所得者に対して、保護と支援を実施する機関です。民間施設よりも費用が安く抑えられますが、その分人気があり、入居待ちに長い期間を要します。
これらより、介護度が高い方や経済的負担を抑えたい方、すぐに入居できなくても問題ない方が適しているでしょう。公的施設の種類とそれぞれの特徴は下記のとおりです。
種類 | 特徴 | 初期費用(入居一時金) | 月額費用 | 受け入れ可能な介護度 | 認知症の受け入れ | 看取りの対応 |
---|---|---|---|---|---|---|
特別養護老人ホーム | 終身利用が可能。安くて人気のうえ、介護度などにより入居順を決定するため、入居待ち期間が長い。 | 0円 | 5〜22万円 | 要介護3〜5 | ○ | △ |
養護老人ホーム | 経済的理由などで日常生活が困難な高齢者が対象。介護施設ではないため、介護度の高い方は入居不可。 | 0円 | 0〜14万円 | 自立 | × | × |
介護老人保健施設 | 在宅復帰に向け、退院後のリハビリ・医療ケアを行う。原則は3ヶ月の短期入居。 | 0円 | 8〜20万円 | 要介護1〜5 | ○ | △ |
介護医療院 | 医師・看護師が常駐し、介護サービスに加えて医療ケアを行う。終身利用が可能で、看取りやターミナルケアも提供。 | 0円 | 8〜20万円 | 要介護1〜5 | ○ | ○ |
ケアハウス | 自立生活に不安をもつ方が対象の、経費老人ホームの一種。「一般型」と「介護型」があるが、どちらも入居の所得制限はない。 | 0〜数千万円 | 6〜30万円 | 自立〜要介護3程度 | △ | △ |
民間施設の種類と特徴
民間施設とは、民間企業が運営している施設のことです。高齢者のニーズを満たすよう運営されており、充実した設備や豊富なレクリエーション・体の状態に合わせたサービスが受けられます。快適な生活を送れますが、公的施設よりも費用が高いのがデメリットです。
したがって、心身の状況に合わせたサービスを受けたい方や、アクティブなシニアライフを過ごしたい方、金銭的に余裕がある方に向いているでしょう。民間施設の種類とそれぞれの特徴は下記のとおりです。
種類 | 特徴 | 初期費用(入居一時金) | 月額費用 | 受け入れ可能な介護度 | 認知症の受け入れ | 看取りの対応 |
---|---|---|---|---|---|---|
介護付き有料老人ホーム | 介護スタッフが24時間常駐し、手厚い介護ケアが受けられる。入居条件は幅広いが、介護サービス費は定額。 | 0〜数千万円 | 15〜35万円 | 自立〜要介護5 | ○ | △ |
住宅型有料老人ホーム | 食事・掃除などの生活支援と安否確認を行う。介護が必要になった場合は、外部サービスを利用。 | 0〜数千万円 | 15〜35万円 | 自立〜要介護5 | △ | △ |
健康型有料老人ホーム | 介護の必要がない方を対象に、生活支援やレクリエーションを提供。介護が必要になると退去しなければならない。 | 数百〜数千万円 | 15〜50万円 | 自立 | × | × |
サービス付き高齢者向け住宅 | バリアフリーのマンション型住宅。スタッフによる生活相談・安否確認と談話室が提供される。 | 0〜数十万円 | 10〜30万円 | 自立〜要介護3程度 | △ | × |
グループホーム | 65歳以上の認知症の方が対象。数名のユニット単位で役割を持ちながら過ごし、穏やかな生活を目指す。 | 0〜数十万円 | 10〜30万円 | 要支援2〜要介護5 | ○ | △ |
シニア向け分譲マンション | 高齢者が過ごしやすいよう設計された分譲マンション。売却やリフォームなどを自由に行えるが、介護は外部サービスを利用する必要がある。 | 数千万〜数億円 | 10〜30万円 | 自立〜要介護5 | △ | △ |
介護施設ごとのおすすめの人
運営主体や受け入れ対象などによって11種類に分類された老人ホームですが、自分に適した種類を選ぶのは難しいですよね。そこで、介護施設ごとに向いている方をまとめました。
種類 | 向いている方 |
---|---|
特別養護老人ホーム | 要介護度が高く、費用を抑えたい方 |
養護老人ホーム | 介護の必要はないが、金銭面などの問題から自宅で過ごすのが難しい方 |
介護老人保健施設 | 退院後にリハビリや医療ケアを受けながら、在宅復帰を目指す方 |
介護医療院 | 日常的に介護サービスと医療ケアを必要とする方 |
ケアハウス | 家族や親戚の援助を受けにくく、自身での生活に不安を感じる方 |
介護付き有料老人ホーム | 日常的に手厚い介護ケアを受けたい方 |
住宅型有料老人ホーム | 手厚い介護サービスを必要としない方 |
健康型有料老人ホーム | 周囲とのコミュニケーションをとりながら、活発なシニアライフを送りたい方 |
サービス付き高齢者向け住宅 | 自由度の高い生活を送りたいが、単身での生活は不安な方 |
グループホーム | 65歳以上の認知症をもつ方 |
シニア向け分譲マンション | 経済的な余裕があり、住み替えを検討している方 |
老人ホーム・介護施設の選び方と入居までの流れ
老人ホームを探すために必要な5つのステップを、一緒に確認していきましょう。
①老人ホームに求める条件を考える
今の生活に抱いている不満や、不便に感じること、こんなもの(サービス)があったら良いと感じることはないですか?現在の状況を整理することで、老人ホームに求める条件が見えてきます。
現在の状況・不満 | 老人ホームに求める条件 |
---|---|
介護をしてくれる人がいない・家族が行う介護に不安や申し訳なさを感じる | 介護サービス |
食事の準備や洗濯などの家事がおっくう | 生活支援 |
体力や筋力の低下を感じる・すぐに疲れる | 身体機能の低下を予防するリハビリ |
一人で病院に行くのが難しい | 医療的ケア |
楽しみがない・友人や話し相手が欲しい | レクリエーション |
また、現在の状況と老人ホームに求めることを把握したうえで、希望条件の整理も行ってください。下記の項目ごとに検討し、譲れない条件から妥協できる条件まで優先順位を決めておきましょう。
- 費用(入居時や月々の支払いはいくらなら可能か)
- 立地(周辺環境に求めることはあるか/家族は通いやすいか)
- サービス内容(生活支援・介護サービス・医療ケアはどれくらい必要か)
- 設備(居室は個室か大部屋か/喫煙ルームは必要か)
②老人ホームを探す
①で整理した条件に当てはまる介護施設を探しましょう。インターネットは早くて便利ですが、下記のような窓口もあります。お好みの方法を活用してください。
ケアマネージャー(すでに介護サービスを利用している場合)
利用者の健康状態を把握しているうえ、近隣地域の施設にも詳しいため、自分に合った老人ホームを提案してくれるでしょう。
地域包括支援センター(介護認定を受けていない場合)
各市区町村に設置されており、地域ぐるみで高齢者を支える体制が整っています。老人ホームだけでなく、幅広い相談に対応してもらえますよ。
民間の紹介センター
全国の老人ホームの情報を把握しており、無料で介護施設を紹介してもらえます。見学や契約など、紹介後のサポートまで行っている企業もあるため要チェックです。
③老人ホームの具体的な情報を集める
気になる老人ホームを見つけたら、資料やパンフレットを取り寄せましょう。資料には、施設の特徴や様子・サービス内容などが具体的に記載されています。
それぞれに資料請求をするのが大変という場合は、紹介センターなどで資料請求を一括して行ってくれる場合もあるため、チェックしてみてください。
④老人ホームを見学する
良いと思う老人ホームを見つけたら、実際の雰囲気を確認すべく施設見学を行いましょう。2〜4ヵ所の見学を行うと、それぞれの特徴が明確に比較できます。感じたことをメモしておくと、後からも検討しやすいですよ。
⑤老人ホームの体験入居をする
入居したい老人ホームに出会えた場合、本契約の前に体験入居することをおすすめします。見学だけではわからなかった実際のサービスや、設備の使い勝手などを把握できるでしょう。
数日過ごしてみて特に問題がなければ、帰宅せずにそのまま本契約・本入居となるケースが多いです。体験入居の結果、自分に合わないと感じた場合には、他の施設を再度検討してみましょう。
老人ホーム・介護施設の選び方のポイント
老人ホームを選ぶなかで、注意したいポイントがいくつかあります。入居までの段階に分けて確認していきましょう。
資料を見るときの注意点
費用内訳・支払い方法を確認する
老人ホームに入居するときは「初期費用(入居一時金)」と「月額費用」を支払う必要があります。
入居一時金が不要だったり、初期費用は高いけれど月々の負担は少なかったり、施設によって内訳や支払い方法はさまざまです。貯金や今後の収入などを踏まえ、無理なく支払える施設を選びましょう。
入居期間をイメージする
終身利用ができる終のすみかを求めているのか、他施設の空きが出るまでの短期入居なのかという点でも介護施設探しの基準が変わってきます。また、今は自立した生活を送れる方も、将来的には介護が必要になる可能性もあるでしょう。
現在の年齢や体の状況をもとに入居の期間をイメージし、検討している施設が希望に合っているかを確認することが大切です。
資料はあくまでも広告
資料から得られる情報は多いですが、施設のすべてが記載されているわけではありません。パンフレットはあくまでも広告であり、入居したいと思ってもらえるような魅力を中心に作られています。
そのことを念頭に置き、資料で基本的な情報をチェックしたあとは、必ず見学に行って詳細や雰囲気などを目で見て確認しましょう。
見学をするときの注意点
人が多い時間帯に見学をする
昼食時やレクリエーションの時間など、入居者が多いときに見学を行う方が、実際の施設の雰囲気を体感しやすいです。入居者の男女比・年齢・介護度などを確認するとともに、スタッフの人柄や対応もチェックしましょう。
立地・交通の便を確認する
施設内だけでなく、周辺の緑の多さ・静かさ・治安の良さなども気にかけてください。また家族が住んでいる場所との距離感や、アクセスの良さも重要です。入居後の訪問や、緊急時に駆けつけることも考え、双方に負担が少ない施設を選びましょう。
スタッフに聞きたい項目リストを用意する
疑問点を事前に準備しておくことで効率良く情報が得られ、聞き忘れも防げます。「私物は持ち込めるか」「ペットと共に入居できるか」などはよくある質問ですが、施設によって対応がさまざまです。気になることがある場合は、小さいことでも確認した方が良いでしょう。
入居を決めるときの注意点
重要事項説明書を確認する
重要事項説明書とは、老人ホームの事業主体・施設概要・従業員・サービス内容などの情報が細かく記載された書類です。
なかでも従業員の勤続年数別人数や職員体制などから、介護サービスの充実さやスタッフの慣れなどが見えてくるため、チェックしてみてください。また退去時の条件や返還金などについても、確認しておくと良いでしょう。
身元保証人の必要性を確認する
緊急時の対応や経済的な保証などの観点から、入居時に身元保証人を求められるケースが多いです。配偶者や子どもなどの親族がなる場合が多数ですが、保証会社や成年後見人制度の活用などでも入居が認められることがあります。
入居する老人ホームは身元保証人が必要かどうかを確認し、必要なら誰にお願いするのかを検討しておきましょう。
まとめ
老人ホーム選びに失敗しないコツは、介護施設の種類を知り、正確な情報を集め、実際に足を運んで体感することです。費用・サービス内容・立地条件など確認すべきことはたくさんありますが、それぞれの項目に優先順位を考えながら検討しましょう。
今抱えている不満・不安を整理し、入居後の生活をイメージしながら探すことで、自分に合った介護施設がきっと見つかりますよ。