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要介護1とは?【介護度の違い・限度額内で受けられるサービス・補助金などをご紹介】

要介護1とは、生活の一部のみ介護が必要な状態で、要介護認定の中では最も低い段階です。

  • 要介護1ではどのようなサービスが受けられる?
  • 要介護1では一人暮らしか老人ホーム、どっちが良い?
  • 要支援2や要介護2との違いはある?
  • 補助金や控除制度はある?

介護を受けられている方の中には、上記のような疑問点を持っている方も多いでしょう。

そこで今回は、要介護1はどのような状態を指すのかを説明するとともに、受けられるサービスや補助金などについてご紹介します。ご家族が要介護1に認定されてお困りの方や、要介護認定を受けたいご高齢の方はぜひ参考にしてください。

目次

要介護1とは

要介護1は、要介護認定の中で最も低い段階です。そもそも要介護認定とは何か、どのような方が要介護1に認定されるのかを詳しく確認していきましょう。

要介護認定の仕組み

要介護認定とは、介護の必要度合いを客観的に判断し、数値で表したものです。大きく分けて要支援と要介護の2種類あり、日常生活でどれだけの介助や介護を必要とするかに基づいて分類されます。

要支援1は必要とする介助の程度が最も少なく、要介護5になるにつれて介護の必要度が高まります。要支援・要介護の段階別の利用サービスや認定基準は、以下の通りです。

要介護度利用可能サービス要介護認定等基準時間
要支援1介護予防サービス25分以上32分未満又はこれに相当すると認められる状態
要支援2介護予防サービス32分以上50分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護1介護サービス32分以上50分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護2介護サービス50分以上70分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護3介護サービス70分以上90分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護4介護サービス90分以上110分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護5介護サービス110分以上又はこれに相当すると認められる状態

要介護認定は、入浴介護や家事援助など「その人の介護にどれだけ手間や時間がかかるか」を意味する「要介護認定等基準時間」に基づいて判定されます。

また一人ひとりが抱える事情や心身状態も考慮されますが、個人差が大きいため、具体的な認定基準は明らかになっていません。詳細の認定基準が知りたい場合は、お住まいの自治体やケアマネージャーに確認するのが良いでしょう。

要介護1の状態とは

要介護1は、日常生活の一部に見守りや介護が必要な状態です。これは介護が必要とされる要介護の5段階中、最も低い段階にあたります。

認定の明確な基準はないため一概には言えませんが、下記のような方が要介護1に認定されているケースが多いでしょう。

  • 食事などの基本的な日常生活はほぼ一人で可能
  • 掃除などの身の回りのことに一部介助が必要
  • 歩行や立ち上がりが不安定で支えが必要
  • 買い物や意思決定などが難しく、認知機能の低下が見られる

ちなみに厚生労働省が発表した『介護保険事業状況報告』によると、令和3年1月末時点での要介護認定者数は約679.2万人でした。その内、約20%にあたる約139.4万人が要介護1に認定されています。これは要介護度別に見れば、最も多い割合です。

また厚生労働省の『平成28年度 国民生活基礎調査の概況』では、要介護1に認定された主な原因の第1位は認知症であるとの報告もありました。これらより、認知機能の低下で介護を必要としている方は多いと言えます。

要介護1でも一人暮らしは可能?

要介護1でも、介護保険サービスを利用しながら一人暮らしをしている方は多く見られます。なぜなら要介護1は身体的介護の必要性が高くなく、日常生活はほぼ単独で行える方も多いからです。

一方で認知症を患っている場合は、より手厚い周囲のサポートが必要です。認知機能が低下すると、買い物や服薬管理ができなかったり、道に迷って自宅に帰れなくなったりすることもあるでしょう。

一人暮らしに不安を覚えたときは、介護施設への入居もおすすめです。利用できる介護施設は限られますが、要介護1での施設入居は早すぎるということはありません

まずは生活支援や見守りサービスがメインの「サービス付き高齢者向け住宅」や「住宅型有料老人ホーム」に入居し、要介護度が高くなってから「介護付き有料老人ホーム」などに住み替えを行うのも良い方法です。

要介護1と要支援2・要介護2の違いとは

要介護1は、要支援2や要介護2と何が違うのか、詳しく解説します。

要支援2との違い

要支援2と要介護1は「認知機能の低下」と「状態の安定性」を考慮して決められます。具体的には、下記のどちらかに当てはまる場合は要介護1、どちらにも当てはまらない場合は要支援2に判定される仕組みです。

  1. 認知機能や思考・感情等の障害により予防給付等の利用に係る適切な理解が困難である場合
  2. 短期間で心身の状態が変化することが予測され、それに伴い、要介護度の重度化も短期的に生ずるおそれが高く、概ね 6 か月程度以内に要介護状態等の再評価が必要な場合

認知症などで介護予防サービスの理解ができない場合や、短期間で介護の必要性が高まる可能性がある場合は、要介護1と判定されます。病状の重篤度や本人の希望、介護にかかる時間では決定されない点がポイントです。

要介護2の違い

要介護1と要介護2は「介護にかかる手間の時間」を考慮して決められます。明確な基準として設けられた「要介護認定等基準時間」は以下の通りです。

要介護度要介護認定等基準時間
要介護132分以上50分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護250分以上70分未満又はこれに相当すると認められる状態

要介護1は、身の回りの一部に介助を必要とするものの、日常生活のほとんどを自分で行える状態です。一方要介護2は、トイレや入浴などの基本的な生活にも介助を必要とし、自力での立ち上がりや歩行が難しい状態が想定されます。

要介護1で受けられるサービスとは

要介護1では、どのようなサービスをいくらで受けられるのでしょうか。具体的な介護サービスの内容をご紹介します。

要介護1で受けられる介護サービス一覧

要介護1の方が利用できるサービスを一覧表にまとめました。

自宅で過ごす訪問介護(ホームヘルプ)
訪問入浴介護
訪問看護
訪問リハビリテーション
夜間対応型訪問介護
居宅療養管理指導
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
施設に通う通所介護(デイサービス)
療養通所介護
地域密着型通所介護
通所リハビリテーション(デイケア)
認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)
施設に入居する介護老人保健施設
介護医療院
ケアハウス
介護付き有料老人ホーム
住宅型有料老人ホーム
サービス付き高齢者向け住宅
グループホーム
宿泊する短期入所生活介護(ショートステイ)
短期入所療養介護(医療型ショートステイ)
訪問・通い・宿泊を組み合わせる小規模多機能型居宅介護
看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)
生活環境を整える福祉用具貸与(レンタル)
特定福祉用具販売
住宅改修(リフォーム)

介護サービスを利用するときは、どのサービスをどの程度利用するかを定める「ケアプラン」の作成が必要です。利用したいサービスがある場合は、担当のケアマネージャーに相談しましょう。

通院介助について

訪問介護の中には、一人では病院へ行くことが難しい利用者に対して介助を行う「通院介助」サービスがあります。通院介助を介護保険内で利用するためには、制約があるので注意してください。

介護保険を適用できる例
  • ヘルパーが車椅子を押して移動する
  • 利用者が転倒しないようヘルパーが横で見守る・支える
  • 病院内でのトイレや移動の介助(病院スタッフが介助できない場合)
介護保険を適用できない例
  • 一人での歩行や移動に問題がないにも関わらず、ヘルパーに付き添ってもらう
  • 家を出てすぐにタクシーに乗った場合の移動時間
  • 介助の必要がない公共交通機関での移動時間
  • 病院内での付き添い(病院スタッフが介助できる場合)

なお、公共交通機関での移動が難しい場合は、介護タクシーを利用する選択肢もあります。介護タクシーは預金の引き下ろしや選挙投票などの「社会生活上必要な行為に伴う外出」での利用も可能なので、必要な場合は検討してみると良いでしょう。

介護タクシーの詳細を知りたい方は「介護タクシーの料金を解説【種類・特徴・利用条件の比較表あり】」をご覧ください。

入居できる介護施設について

ご自宅での生活が不安な方は、老人ホームなどへの入居を検討するのもおすすめです。介護施設は、それぞれ受け入れ可能な要介護度を定めています。

要介護度が高い方を受け入れる「特別養護老人ホーム」には入居できませんが、それ以外の介護施設は、要介護1の高齢者を受け入れている施設も多いです。施設の入居条件や特徴を確認し、どのようなライフスタイルが合っているか考えてみましょう。

介護施設ごとの詳細が知りたい方は「老人ホームの種類一覧【特徴・費用・選び方を介護施設ごとに解説】」をご覧ください。

福祉用具のレンタルについて

要介護1と認定された場合、レンタルできる福祉用具は以下の4つです。

  • 歩行器
  • 手すり(工事の必要がないもの)
  • スロープ(工事の必要がないもの)
  • 歩行補助杖(松葉杖・多点杖など)

ただし医師の判断で必要と認められ、自治体が承認すれば、上記以外の福祉用具がレンタルできる場合もあります。車椅子や介護用ベッドなども例外給付の対象ですので、使用したい場合はケアマネージャーにご相談ください。

住宅改修について

自宅で生活している方が介護のためにリフォームを行う場合、20万円までを限度として費用の一部が給付されます。

要支援・要介護の区分を問わず支給されますが、「1回20万円まで」ではなく「一生涯で20万円まで」が限度であることにご注意ください。なお要介護度が3段階上がったときや、転居した場合は、再度20万円の限度が設定されます。

補助金支給の対象工事
  1. 手すりの取付け
  2. 段差の解消
  3. 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
  4. 引き戸等への扉の取替え
  5. 洋式便器等への便器の取替え
  6. その他1〜5の工事に付帯して必要となる住宅改修

区分支給限度基準額とは

要介護度別に定められた、毎月利用できる介護保険サービスの限度額を「区分支給限度基準額」と言います。要介護1では16,765単位まで利用可能で、1単位あたり10円で計算すると、16万7,650円です。

介護サービスは種類によって1単位あたりの単価が決められており、1ヶ月間の利用がこの金額内であれば、自己負担額である1〜3割の支払いで済みます。

もし上限を超えた場合でも介護サービスは受けられますが、全額自己負担になってしまいますのでご注意してください。

障害者控除は受けられる?

障害者控除とは、納税者自身や、扶養される配偶者または親族に障害がある場合に、一定の金額の所得控除を受けられる制度です。障害者控除の対象は以下のように明記されています。

精神または身体に障害のある65歳以上の人で、障害の程度が知的障害者または身体障害者に準ずるものとして、市町村長等の認定を受けている人など

引用:国税庁『No.1185 市町村長等の障害者認定と介護保険法の要介護認定について』

65歳以上で障害のある要介護1の方は、障害者控除の対象になる可能性があります。ただし介護認定についての規定はされておらず、自治体などによる認定が別途必要です。

つまり、要介護認定を受けただけでは障害者控除の対象にはなりません。障害者認定の詳細が知りたい方は、お住まいの市区町村窓口へお問い合わせください。

まとめ

要介護1は、要介護認定の中では一番低い段階です。基本的な日常生活を一人で行える方も多いので、訪問介護やデイサービスをうまく活用しながら過ごすと良いでしょう。

ただし、認知症の進行や身体状況の悪化などで、必要な介護が増える場合もあります。要介護1からでも利用できる介護施設はあり、入居が早すぎるということは決してありません。

一人での生活や家族の介護に不安な方は、老人ホームの入居も検討してみましょう。

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