グループホームがどのようなものか知りたくありませんか?グループホームの特徴や費用、入所の条件はどうなっているのか、グループホームに入所するメリットはあるのか、興味のある方も多いでしょう。
そこで今回はグループホームについて解説し、入所するメリットをご紹介します。他の介護施設との比較も行いますので、介護施設の入所について悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
グループホームとは?
グループホームとは認知症の方のみを入居対象とした、小規模の地域密着型介護施設です。「認知症対応型共同生活介護施設」とも呼ばれ、できる範囲で他の利用者と家事や掃除などを分担し、介護職員の支援を受けて自立した生活を目指します。
グループホームの特徴
グループホームの最大の特徴は認知症対応に特化していることです。施設の方針には認知症の進行を遅らせる工夫がいくつも採用されています。グループホームは認知症高齢者の入所に適した介護施設と言えるでしょう。
またグループホームでは利用者が中心となって家事を行います。一般的な介護施設では掃除や洗濯、調理などの家事は施設のスタッフが行ったり、外部の業者に委託したりしている場合がほとんどです。一人ひとりが役割を持って共同生活を送れることも、グループホームの特徴と言えます。
グループホームは地域密着型サービスであるため、施設のある市区町村に住民票がないと入所ができません。また施設の規模が小さいため定員も少なくなっています。人気のグループホームは入所の競争率が高いので、順番待ちが発生してなかなか入所できない場合もあるので注意が必要です。
グループホームの入所条件と費用
グループホームの入所条件は5つあります。
- 65歳以上の高齢者であること
- 要支援2以上の認定を受けていること
- 医師に認知症の診断を受けていること
- 集団生活を営むことに支障のないこと
- 施設と同一の市区町村に住民票があること
グループホームは要支援2以上であれば入所可能ですが、介護度が高い場合は入所を断られることもあります。グループホームは比較的軽度の利用者を想定しているため、重度化の進んだ利用者には対応しきれないケースもあるからです。トラブルを避けるためにも入所の際は、施設の担当者と綿密に話し合いをすると良いでしょう。
入所にかかる費用は入所時の一時金と月々の費用に分かれます。一時金は施設により金額が大きく異なり、無料のところから100万円程度のところまであります。月々の費用は家賃、食費、介護サービス料金などを含めて、15万円から30万円程度となることが多いです。
グループホームは料金に占める家賃の割合が高いため、立地によって料金が大きく変わります。都市部やアクセスの良い場所のグループホームは料金も高くなる傾向にあるので注意が必要です。料金を抑えたい場合は郊外の施設を検討してみるのも良いでしょう。
グループホームと他の介護施設との比較
グループホームは比較的軽度の利用者を対象とする、認知症対応に特化した介護施設です。介護施設にはそれぞれ特徴があり、入所の条件や施設の方針が大きく異なります。そのため介護施設を選ぶ際には施設ごとの特徴を押さえるのが肝心だと言えるでしょう。
入居型介護施設の特徴を簡潔にまとめると以下の表のようになります。
施設名(略称) | 入所条件 | 医療体制 | 施設の方針 |
特別養護老人ホーム (特養) | 原則要介護3以上 | やや充実 | 重度の利用者の自立支援 |
介護老人保健施設 (老健) | 要介護1以上 | 充実 | 在宅復帰の支援(入所期間に定めあり) |
介護療養型医療施設 (療養) | 担当医からの紹介 | 医療に特化 | 長期的な医療を提供 |
ケアハウス | 要介護1以上 | 手薄 | 軽費な老人ホーム |
有料老人ホーム | 施設により異なる | 施設により様々 | 住居と介護の提供 |
サービス付き高齢者住宅 (サ高住) | 60歳以上の高齢者 | 手薄 | 高齢者へ住居の提供(介護は手薄) |
介護度があまり高くない場合はグループホームの他、ケアハウスやサービス付き高齢者住宅などが入所に適しており、介護度が高めの場合は特別養護老人ホームや老人保健施設などが入所に適しています。高齢者の心身の状態に応じて介護施設を検討するのが、介護施設選びのポイントです。
グループホームのメリットとは?
認知症の対応に特化している
グループホームの最大のメリットは認知症の進行を和らげられることです。グループホームは認知症高齢者を対象とした施設なので、認知症対応に特化したスタッフが常駐しています。そのため日常生活の様々な場面で認知症の特性を押さえたケアが期待できるでしょう。
認知症の高齢者は健常者に比べるとできないことが増えるのが一般的です。ですがグループホームでは認知症の高齢者一人ひとりが役割を持ち、料理や洗濯といった家事全般を分担して行います。利用者が持っている能力を活かすことで、生活にメリハリが生まれるのです。
認知症対応専門のスタッフの支援を受けながら利用者本人の残存機能を活用することで、認知症の進行を和らげることができます。グループホームに入所すれば認知症とうまく付き合いながら、安心して生活できることでしょう。
住み慣れた地域で暮らせる
グループホームでは住み慣れた地域で暮らせるため、環境変化によるストレスを小さくできます。高齢者が慣れ親しんだ土地で長く生活を続けられるように創設された「地域密着型サービス」のひとつだからです。
認知症の高齢者は環境変化によるダメージを大きく受けます。見知らぬ土地で、見知らぬ文化の中で、なじみのない人たちと共に生活を送るのはストレスです。精神的な疲労から認知症の症状が急激に進行してしまう可能性があります。
グループホームは施設と同じ市区町村の方しか入所できません。そのため利用者同士も自然と顔なじみになり、慣れ親しんだ土地で安心して生活できます。
少人数単位のユニットケア
グループホームは入居者同士や職員とのコミュニケーションを取りやすい作りになっています。少人数のユニットを生活の1単位としており、他の利用者や施設スタッフと顔なじみの関係になりやすいからです。
認知症の高齢者にとって、人の入れ替わりが多い大人数の施設はストレスを感じやすい場所です。職員の数も多いので毎日違う職員のケアを受けることにもなります。認知症を発症すると顔や名前が覚えにくくなるので、入れ替わり立ち代わりの人付き合いでは生活そのものが嫌になってしまう場合もあるでしょう。
グループホームでは日常的に顔を合わせるのはユニット内の入居者や少数の施設スタッフだけです。他の利用者や職員とは自然と顔なじみの関係が構築できるので、気軽なコミュニケーションをとりやくなります。大人数との関りが苦手な傾向のある認知症の高齢者にとっては、グループホームはストレスの少ない環境だと言えるでしょう。
グループホームの入所を考え直した方が良い場合とは?
重度化により身の回りのことが全くできなくなってしまっている
身の回りのことが全くできないほど重度の方は、グループホームへの入所を考え直した方が良いです。グループホームは役割を分担して生活するのが基本となります。介護度が高く、共同生活が難しい場合はグループホームから受け入れを拒否される場合もあるでしょう。
グループホームの入所条件は要支援2以上なので、介護度が高くても制度上は入所が可能です。ただし、グループホームは軽度の利用者による共同生活を想定しており、職員配置や施設方針などの理由により重度の利用者には対応しきれない場合があります。
重度の利用者も受け入れているグループホームもあるので、そういった施設を探せば身の回りのことが全くできなくても入所は可能です。ですが、重度化が進んでしまった場合はグループホームに固執することなく、重度の利用者向けの介護施設への入所を検討するのが良いでしょう。
他の利用者に危害を加えてしまう可能性がある
他の利用者に危害を加えてしまう可能性が高い場合は、グループホームへの入所を考え直した方が良いでしょう。多くの介護施設に言えることですが、特にグループホームは利用者同士のトラブルを避けたがります。施設設計が少人数単位での共同生活を想定しており、利用者同士の関係性の悪化が施設運営に多大な悪影響を及ぼすからです。
認知症を発症すると脳機能の低下や幻聴幻覚により、感情のコントロールが難しくなったり、精神的に不安定な状態になったりすることもあります。そのため懸念されるのが、認知症の症状のひとつとして発生する暴言や暴力です。
認知症対応に長けた施設スタッフは利用者の暴言や暴力にもうまく対応できる場合もありますが、他の利用者に対しては関係の悪化から加害による深刻なトラブルに発展してしまう可能性もあります。
精神的に不安定で加害の可能性が高い場合は、精神科による治療が必要な場合が多いです。日常的に暴言や暴力といった症状が見られるようであれば、精神科の病院や医療設備の整った介護施設で治療を検討すると良いでしょう。
高度な医療的配慮を求められる疾患にかかっている
日常的に高度な医療行為が必要な場合はグループホームへの入所を考え直した方が良いでしょう。グループホーム一般的には医師や看護師が配置されておらず、医療的な設備が整っていません。そのため高度な医療的配慮を求められる疾患への対応は難しいのが実態です。
看護師が在籍していない施設であれば点滴やインスリンの投薬などは行えません。また経鼻経管栄養や喀痰吸引の対応も難しい場合が多いです。日常的に医療的な処置が必要となる場合は、医療設備の整った重度の利用者向けの介護施設へ入所を検討すると良いでしょう。
重度化した際に検討する介護施設とは?
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームは公的な介護施設です。重度の利用者にも対応していることに加え、介護施設の中でも低い料金で入所できます。日中は看護師が常駐しており、医療体制が比較的充実しているので、重度化の進んだ方や医療的な配慮が必要な方でも安心して生活できるのが特徴です。
入所条件は原則要介護3以上。介護度の高い方しか入所できませんが、低価格で重度化にも対応しているためとても人気な介護施設です。そのため多数の方が順番待ちをしており、希望してもなかなか入所できない場合もあります。すぐにでも入所を決めたい場合は注意すると良いでしょう。
老人保健施設
老人保健施設は在宅復帰を目的とした介護施設です。特別養護老人ホームと同じく公的な施設であり、重度化にも対応しています。特別養護老人ホームよりも医療設備が充実しており、専門のスタッフによるリハビリに特化しているのが特徴です。
入所条件は要介護1以上。主に病気や怪我で一時的に状態が悪化している方がリハビリを受ける施設です。一般的に3ヵ月から6ヵ月程度の入所期間の定めがあり、終身での利用はできません。
老人保健施設の退所後に在宅復帰せずに新たな施設への入所を希望する場合は、在籍中に入所先を検討しておく必要があります。退所間近になってから焦らないように、次の施設探しは余裕を持って行うと良いでしょう。
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは民間の介護施設です。24時間体制での介護サービスを提供していますが、施設により方針や利用料金、入所条件が異なります。入所を検討する際は施設の方針や特徴をしっかりと確認すると良いでしょう。
介護付き有料老人ホームは民間の介護施設であるため、特別養護老人ホームや老人保健施設に比べると利用料金が高いです。月額利用料の他にも消耗品の費用や医療費が発生するため、当初の想定より高額の請求をされる場合もあります。実費でかかる費用に関しては特に確認を行うと良いでしょう。
まとめ
グループホームの最大のメリットは認知症対応に特化していることです。認知症の方であっても、認知症の進行を遅らせて元気で健康的な生活を送ることができます。認知症の方で介護施設を探しているのであれば、グループホームを検討してみると良いでしょう。
グループホームは比較的軽度の利用者を想定しているため、重度化が進んでしまった方は他の介護施設を探す必要があります。その時その時の状態に適した介護施設を探すのであれば、介護の専門家の協力が不可欠です。介護施設探しに悩んだらソーシャルワーカーやケアマネジャーなどの専門家に相談すると良いでしょう。