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在留外国人の高齢者は、どうすれば日本の介護施設に入れる?介護保険サービスを受けるには

最近、「在留外国人の高齢者が入れる老人ホームや介護施設はありますか」という問い合わせが増加しています。

当初、母国に帰国するつもりで来日し、様々な理由で、そのまま日本に住み続けることになり、ついに65歳を超えて介護が必要になってしまった、というパターンが多くなっています。

今回は、外国人の高齢者の介護について、ご説明します。

目次

日本に住む外国人の高齢者数

出入国在留管理庁のデータによりますと、令和3年末現在における中長期在留者数は約246万人、特別永住者数は約29万人で、これらを合わせた在留外国人数は、276万人を超えています。

国別の人数では、中国が全体の約26%を占めており、続いてベトナムと韓国が、いずれも15%前後の結果となっています。

(出典:出入国在留管理庁 令和3年末現在における在留外国人数について を基に加工して作成)

上記の在留外国人のうち、65歳以上の高齢者の人数は、20万人を超えています。この数値は、年々増加傾向にあります。(出典:統計で見る日本 e-Stat 在留外国人統計 2021年12月末 を基に作成)

在留外国人は介護保険サービスを受けられる?

住民基本台帳法を改正する法律が施行されたことに伴い、日本に住む多くの在留外国人が、介護保険サービスを利用することが可能となりました。

但し、日本人の高齢者と同じように、住民票に登録があり、且つ一定の期間以上、介護保険料を支払っていることが条件となります。介護保険料を支払っていない人は、サービスを受けることができませんので、注意が必要です。

また、在留資格の種類によっては、一部対象外となるケースもありますので、最寄りの市町村の窓口へ、詳細を問合せることをお勧めします。

在留外国人の高齢者も、介護施設に入れる?

日本に住む外国の方々も、日本の高齢者と同じように、介護施設や老人ホームを見学したり、申し込みをすることは可能です。

しかし、日本語が話せない場合は、入所後に、特別な配慮が必要となります。そのため、施設によっては、人員不足等により受け入れが難しいところもあります。

外国人高齢者の受け入れ実績があれば、入れる可能性も高くなりますので、事前に問い合わせてみるのも良いでしょう。

外国人高齢者の、日本の介護施設での悩み

言葉が通じない事が不安

日本の介護保険サービスは、非常に複雑な仕組みになっており、ケアマネージャーなどの専門職でない限り、その全てを正確に理解し、伝えることは、難しいことです。

よって、日本語がよくわからない人に対して、介護保険サービスの詳細を説明するのは、語学力が必要です。介護施設に入所する際の説明についても、通訳がいなければ会話が成り立ちません。

そのため、やっと入所できたとしても、自分の想いを伝えるだけでも時間がかかり、ストレスを感じやすくなります。また、言葉の通じない日本の介護施設で、緊急時に自分の体の状態を、上手く伝えられないことへの不安もあります。認知症が進んでしまった場合は、母国語は話せても、日本語を忘れてしまうケースも考えられます。

食事の内容が合わない

高齢者の食事は、なるべく柔らかいもの、食べやすいもの、薄味の和食で、と考えている方も多いかもしれません。しかし、現実は、そのような食事が毎回続くと、飽きてしまいます。

高齢者の嗜好は個人によっても差があります。濃い味付けを好む人も多く、特に、外国人の高齢者は、日本の食事よりも、母国の食事を懐かしむ傾向にあります。母国料理が脂質の多いものであれば、高齢になっても、そのような脂っこい食事を好むのが普通です。

母国と比較して、生活習慣や介護の手法に戸惑い

介護は世界共通ではありませんので、母国の介護と比較して、異なっている部分がある、と感じてしまう場面があるかもしれません。

また、認知症が進むと、昔のころの記憶は鮮明に思い出せる場合があります。若い頃の母国での生活を思い出し、日本の介護施設での生活の違いに戸惑うことも考えれます。

以上のことから、外国人の高齢者が施設を選ぶ際には、次のようなことに気を付ける必要があります。

・定期的に通訳の方に来てもらえるか
・食事の内容を、母国に近い味付けにしてもらえるか
・介護施設での生活は、自分のこれまでの生活スタイルと大幅に違っていないか

介護施設のサービス内容は、どこも同じではなく、高齢者の個別のニーズに、細かく対応してくれる所もあります。そのような親切な施設をさがしてみることが大切です。

外国人高齢者を介護する側が気を付けること

一番大切な、コミュニケーション能力

日本語の苦手な外国人の場合、思いが伝わらないことが最大の悩みとなります。

通訳が施設内にいる場合は、まだ安心できますが、そうでない場合、例えば、翻訳アプリを活用して会話をするのも良いでしょう。現在は、音声認識の精度もかなり上がっていますので、試してみるのをお勧めします。

但し、日本語と同じく、外国語にも方言のようなものは存在します。都心と地方の言葉を比べると、同じ国でも聴きづらいため、音声認識が難しい場合があります。

そのような場合、次の方法はいかがでしょう。

あらかじめ、高齢者によくありがちな体の不快をイラストにして、単語カードのように、まとめておくのです。何か伝えたい時には、そのイラストを指さしてもらいます。

例えば、「喉が渇いた・腰が痛い・お腹が痛い・歯が痛い・眠い・寒い・暑い・食欲がない」などを絵にすれば、一目で伝わるようになります。介護者側としても、そのカードを見ながら会話をすることで、自然と語彙が増えていく、という利点もあります。

先ほどの国別の表を見ていただくとわかる通り、在留外国人は、中国が圧倒的に多くなっています。今後の介護業界においては、介護の資格にプラスして、中国語が理解できると、活躍の場がますます広がることでしょう。

まとめ

在留外国人の全体の人数は、前年と比較すると減少しているものの、65歳以上の高齢者は年々増加傾向となっています。日本は、自国の高齢者対策とともに、外国人高齢者の受け入れ体制も、真剣に考える必要があります。

介護でまず第一に大切なのは、相手を思いやり、信頼関係を築くことです。そのためにも、普段から高齢者とのコミュニケーションは欠かせません。たとえ日本語が話せない人でも、安心して生活できる介護施設が増えるといいですね。

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