もしも認知症の親が介護施設の入居を嫌がったら?まず最初に利用したい「小規模多機能型居宅介護」3つのサービス

もし今、あなたの親が認知症となり、介護施設を一生懸命さがしているにもかかわらず、本人がその入居を断固拒否している場合、一体どうすれば解決できるのでしょうか。

例えば、こんなやりとりが想定されます。

介護者の家族「お願いだから、介護施設に入って暮らしてね。その方が安心だし、いろんなサービスも受けられるし、家より安全だからね」

認知症の高齢者「え? 急に何で? 介護施設って何をするところなの? そんなの絶対嫌よ! 私はこの場所から離れたくないの、この家で暮らしたいの。体はどこも悪くないんだから」

こんなやりとりをしていては、話はいつまでたっても前へ進みません。認知症の高齢者の場合、話を理解してもらうだけでも、かなりの時間がかかる場合もありますし、介護施設への入居のメリットを説明しても、正しく理解してもらえないケースも多々あります。

特に、これまで家からあまり出る機会がなく、行動範囲の狭かった高齢者の場合は、そのハードルは高いものとなるでしょう。

そうかといって、嫌がる本人を無理やり入居させるのも、気持ちのよいものではありません。そのような事をしたら、これまで良好だった親子関係が崩れてしまう可能性もあります。

今回は、認知症の高齢者が、なるべく自然な形で介護施設へ入居できるように、家族ができることとして、「小規模多機能型居宅介護」のサービスのご説明をします。

目次

増え続ける認知症の高齢者数

厚生労働省のデータによりますと、2020年の時点で、日本の65歳以上の認知症の高齢者数は約600万人で、更にその5年後の2025年には、100万人程度増え、合計約700万人に到達すると予想されています。

その勢いはこれからも続き、高齢者の約5人に1人が認知症になると予測され、認知症の高齢者への対策が急がれる中、まだまだ追い付いていないのが、日本の現状です。

(出典:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス総合サイト」を元にして作成)
(URL:https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_recog.html

小規模多機能型居宅介護とは?

小規模多機能型居宅介護は、名称が長いので、初めて聞いた方は、わかりにくいかもしれませんが、以下の通り、大変便利な介護サービスです。

「小規模多機能型居宅介護」事業所の特徴

・小規模の定員(登録者は29名以下)
・3種類のサービスが受けられる
・認知症高齢者への対応も手厚い

「小規模多機能型居宅介護」は、認知症の高齢者の状態に寄り添いながら、主に「訪問」「通い」「宿泊」の3種類を臨機応変に組み合わせることができるため、かなり自由度の高い介護サービスとなっています。

利用できる人の条件は?

・要支援1~要支援2
・要介護1~要介護5

(但し、事業所がある自治体と同じ所に住んでいる高齢者限定です)

小規模多機能型居宅介護のメリットとデメリット

メリット

①認知症の高齢者の特性に沿った対応が臨機応変に可能
(例:スタッフに訪問してもらう予定だったが、気が向いたので、事業所へ行ってみる・事業所で作業に夢中で、日が暮れてしまったので、そのまま宿泊してから翌朝帰る・事業所に通う予定を急にやめて、訪問サービスに切り替える)

②基本料金が月額で決まっているので、一定以上の金額を超過する心配がない
(但し、別途料金が発生するものもあります。例:宿泊代・食費・おむつ等)

③訪問介護や通いのデイサービスなどを、別々の事業所で契約をする必要がない。
どのサービスを使っても、同じスタッフがいるため、認知症の高齢者が安心して利用ができる。

デメリット

①小規模多機能型居宅介護の事業所に登録をすると、他の事業所のサービスを重複して受けることができない

②どのサービスを受けても、同じスタッフが対応してくれる安心感がある一方で、相性のあまり良くないスタッフがいる場合は、高齢者本人の居心地が悪くなってしまう可能性もある
そのため、人間関係については周囲も細心の注意を払う必要がある。

小規模多機能型居宅介護で受けたい3つのサービス

①「訪問」サービス

事業所のスタッフが、高齢者の自宅に訪問をして介護サービスを行います。これは、事業所へ通うことに抵抗のある高齢者の自宅へ、何度か訪問をすることで、スタッフへの良いイメージをもってもらい、信頼関係を築くという目的もあります。そして、高齢者の外出を自然に促し、事業所への通いにつなげていきます。

スタッフが訪問をすることで、高齢者の家での生活状況を知ることができますし、その後の通いや宿泊へとつなげていく際の、参考にもなります。

訪問のサービス内容例

  ・家事全般のお手伝い
 ・食事の準備、服薬
 ・排泄などの介助
 ・病院など外出時の付き添い
 ・健康状態の確認

②「通い」サービス

認知症の高齢者自身が、事業所へ通うことです。スタッフの訪問に慣れてから、外出へと促し、行動範囲を広げていきます。

通いのサービス内容例

 ・車での送迎
 ・通いのメンバーとの交流やレクリエーション
 ・食事の準備か、服薬
 ・入浴、排泄などの介助
 ・リハビリ
 ・健康状態の確認

③「宿泊」サービス

①の訪問や②通いに慣れて、自信がつくと、お泊りもできる可能性が高くなります。

宿泊のサービス内容例

 ・車での送迎
 ・食事の準備、服薬
 ・入浴、排泄、就寝などの介助
 ・レクリエーション
 ・健康状態の確認


※宿泊の場合は、別途料金が発生します

※以上のサービスは、事業所によって異なる場合がありますので、ご確認ください

小規模多機能型居宅介護の「通い」と、デイサービスは、どう違うの?

デイサービスは、ある程度一日の流れが決まっており、何時から何時まで、これをする、という時間割のようなものがあります。

しかし、小規模多機能型居宅介護の事業所へ通う場合は、そのような時間帯の制限がありませんので、基本的に時間を自由に使えます。

例えば、
・今日は、通いにしたけれど、入浴だけ済ませたら帰りたい
・通いで、食事の時間帯だけ利用したい
など、さまざまな対応が可能です。

優良事業所の見分け方

介護の事業所はたくさんありますので、迷ってしまいますよね。選ぶ際には、料金だけでなく、ぜひ、次の視点でも調べてみてください。

・事業所で高齢者が過ごす様子を、見学させてくれる
・事業所と家族との面談の時間が設けてあり、意見を伝えやすい環境
・日中は家族が面会で出入りをしたり、地域との交流もあるなど、外部に対してオープンな雰囲気
・高齢者だけでなく、施設で働く人々の姿も生き生きとしている

事業所に登録したらそれで終わりではなく、高齢者本人がそこでどのような生活をしているかを、家族側が見る機会があれば、安心できます。それから、随時相談できるような機会を設けているかも、チェックすべき大切なポイントです。

事業所を選ぶ際には、口コミだけに惑わされるのではなく、実際に足を運んで、見学をしたり、わからないことは積極的に質問をしてみましょう。

まとめ

今回の記事はいかがでしたか。高齢者が徐々に施設での生活に慣れることができれば、必ずしも自宅で生活しなければならない、という考え方も変わる可能性が高くなります。また、施設で生活をするメリットも、高齢者自身が少しずつ体感して、理解することができます。本格的に介護施設をさがす際にも、「小規模多機能型居宅介護」事業所での体験が、きっと役立つはずです。

まずは、お住まいの地域で、「小規模多機能型居宅介護」サービスを行っている事業所があるか、ぜひ調べてみてくださいね。

あなたの高齢者にとって、最適な環境の事業所が見つかりますことを、願っています。

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