『　これが　現実　』　第 5 話

前回まで

私の名前は仮名：青山（以下青山）　仕事は在宅での生活が難しくなった高齢者を介護施設（老人ホーム）などに紹介する、いわば介護の不動産屋さんみたいな仕事だ。（「紹介のプロ」介護施設紹介センター）

ノブコさんが初めて立つところが見れる

テレビ台に手をつき、タンスをつたい歩きしてトイレまで

これは大変だ…

第５話

ノブコさんの歩く姿に顔を見合わせる

足の状態が思っていたより悪いぞ

トイレから戻ったノブコさんに話しかける

今まで大変でしたね

はい…

しかし今までケアマネ※1さんもいたのになぜベットにしなかったんだろう

施設から身体の状態について矢継ぎ早に質問がはいる

ノブコさんもそれに答えていく

私からもノブコさん、わかる範囲でゆっくりでいいですよ

次は生活、家族の状況の質問だ

・食事はとれていますか

・お薬は飲めていますか

・ご出身はどちらですか

・ご家族はいらっしゃいますか

・何人兄妹の何番目ですか

私から施設が望むKP※2は今のところいらっしゃらないので、役所と相談してご連絡差し上げます

役所の担当者もうなずく

施設のパンフレットを見ながらお部屋、食事、入居後の生活の説明をし終わる

何か質問はございませんか

…とくにありません

私はおやっと思った

一瞬ノブコさんの表情が変わった

私には安堵しているように見えた

施設の方が

一旦持ち帰って相談し入居可能かご連絡しますね。

ノブコさんタバコのことは最後まで聞かなかった

前回からの数日間でノブコさんはトレードオフしたんだ

タバコと今の生活を…

ノブコさんから「早く死にたい」が完全に消えた

ノブコさんなりにこの数日考えたんだ

そう思うと胸が締め付けられる

施設の方は一度持ち帰ってと言っていたが、

私との間では入居OKとなっている

なぜ事前に入居OKになるかはいつか紹介するとして

あとはスケジュールの問題だ

ここはあまり時間を掛けられないことは

ノブコさんの身体状況をみればわかる

つづく

＃１　ケアマネとは

＃２　キーパーソンとは