『車いすから人権を考える』
私の通っていた看護学校の1番最初のフィールドワークは、車椅子体験。
- 車椅子で、街中を歩くグループ
- バスや電車を利用するグループ
- 大きなショッピングセンターに行くグループ
に分かれて車椅子での生活について考える課題です。
その中での学びをいくつか紹介します。
①歩道は車椅子走行しにくい。
歩道は、雨水を側溝(ドブ)に流れさせるため、斜めになっており、車椅子本体も斜めになりハンドルがとられ走行が難しい。
自分で車椅子を漕ぐのはとても大変なんです。
片麻痺(右半身麻痺、左半身麻痺)になって歩きにくいということは、腕も麻痺してるので、車椅子を両手でこぐのは1人ではとても難しいです。
目が見えない方の点字ブロックもガタガタしてしまい、車椅子の方には逆に不便なものになってしまいます。
②電車やバスは予約しないと乗れない。
介助者がいても怒られていました。
鉄道会社、バス会社の方の支援が必要です。
③人目が気になる。
大きなショッピングセンターは、バリアフリー・グローバルデザイン※1のため利用はしやすいですが
飲食店によっては、せまく方向転換ができなかったり、車椅子対応のテーブルが空いておらず、やはりこちらも予約することは大切だと思いました。
また、学生の集団ということもありましたが、人の目が気になり、心のバリアフリー※2の課題にも気付くことが出来ました。
※1 バリアフリー、グローバルデザインとは
※2 心のバリアフリーとは
④車椅子の高さ。いわゆる100cmの目線。
子どもの目線、車椅子の目線は100cm。
我々大人の150~180cmの目線とは50cm以上違います。
とゆうことは、相手からも見えてないことがあります。
バックする車から見えにくいこと。
危険です。
⑤見えないものがある。
建物の中では床から100cm以上の高さの窓の外は空しか見えないこと。
雨が降っても気付かないこと。
でも窓から地面の水たまりを見ると雨が降ってることがわかること。
そんなことにも気が付きました。
このフィールドワークの目的は、移動って、人権なんだよってこと。
目的地に行きたくても行きにくい。
予約する必要がある。
雨が降っていたら大変。
人の目が気になる。
そんなたくさんの課題があるのです。
介護タクシーなどの移動手段。
移動支援などの制度。
それもお金がかかったり、利用するのに制限があったり。
自分の足で、自分の意思で行きたいところに行けるということ。
ごく当たり前のこと。
まだ18歳の看護学生に
移動を通じて、人権や尊厳を考えさせるフィールドワークのこの車椅子体験。
10年以上経った今でも利用者さんを考える上でとても大切なものになっています。是非、色々な方にも考えて頂けたらと思います。
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ライタープロフィール
新開 千世(しんかい ちよ)
千葉県流山市内の介護の専門学校で介護福祉士取得。その後働きながら同市内の看護学校にて看護師を取得。病院勤務、老人ホームや老人保健施設勤務、介護事業所で管理職を経たのち、障がい者グループホームを立ち上げる。都内、千葉県内のグループホームに開設から運営、実地指導対策のアドバイスを行う。現在は一般社団法人エイジレスライフ協会にて理事として、また現場では看護師・サービス管理責任者として従事。実務者研修講師(介護過程Ⅲ、医療的ケア)として活動中。
今後はケアマネ、相談支援専門員、終活ガイド士上級の知識を活かし、産業ケアマネとして、企業に参入し保険外での介護離職や8050問題について取り組む予定。また、医療からソーシャルコミュニティの包括的な視点で後見人活動をし、親亡き後も安心して今まで通りの生き方ができるよう支援していきたいと考えている。